Tech Crunchのロボティックスカンファレンスに参加してきた。
カンファレンスは、サンフランシスコからベイブリッジで対岸に渡ったバークレーの学校内で開催された今回はTech Crunchが主催するロボティックスカンファレンスとしては第2回目で、第1回目はMITで開催されたのだそう。やはり、ロボットなどのハードウェアは東海岸のほうが進んでいるのではないかと感じた。
さて、なぜいま、ロボティックスがシリコンバレーでも注目されてきているのか、ハードウェア、AIなどのソフトウェア技術、クラウドコンピューティング、オープンイノベーションなどが総合的に発達してきたことが1つ挙げられると思う。
例えば、ロボットを制御するための頭脳部分や、ロボットの目にあたる画像認識にはDeep LearningなどのAI関連技術が必要になってくるが、Deep Learningのアルゴリズムの発展、及びNvidiaなどが得意とする並列演算の小型GPUの発展により、昔はできなかった演算がエッジ側(クラウド上ではなく、ロボット内)で実施可能になることで、ロボットの小型化や高度化が大きく前に進んでいるのだ。
また、今回のカンファレンスのスピーカーにも登場した、Rosなどのロボティックスのオープンソースのインフラが発達してきたことも大きいように思う。
Rosは、オープンソースで作られているRobot Operating System の略で、ロボットを制御するミドルウェア(ロボット開発のためのソフトウェアのフレームワーク群)のこと。
ロボットを制御するには、センサーや動作ソフトウェアなどかなり高度なプログラミングが必要な一方で、パソコンや携帯などと違ってOSなどが統一されていなかったことが問題だったが、Rosの登場のおかげでStart-upは既存のソフトウェアツールやフレームワークを活用でき、イノベーションのフォーカスをプログラミングよりもUXなどにフォーカスできるようになっているそうだ。
一方で、カンファレンスでは、ロボットが発達することで、人間の仕事を奪うのではないかという疑問がしばしば主催者側から提起された。こういった社会問題について、農業ロボットや、トラックの自動運転などのスタートアップの創業者、ロボティックス業界の主要なスピーカーたちの回答は以下のようなものだった。
我々は、そもそも人手が足りない業界に対して、労働力を提供しようとしており、むしろ顧客となる業界からのニーズに応じて、プロダクトを改善し、提供している。
こういった議論は、過去に工場の機械化が進んだときや、アジアの安い労働力が普及しはじめたときにも起きた議論なのだろう。こういった発展は、批判や議論を浴びつつも普及していったことを見るに、大義名分はともかく、ロボティックスにおける一度はじまったイノベーションの波を止めるのは誰にもできないように思う。
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