AIの領域では、世界中がみな血眼になっていかに多くの優秀なデータサイエンティストを採用できるかという競争しています。しかし、将来的にはアルゴリズム開発はコモディティ化し、データサイエンティストの相対的重要性が下がり、最終的にはデータ量が勝負を分けるといわれています。「データは次世代の石油」「最終的には人口が多い中国がAI戦争に勝つ」と言われているゆえんです。
一方で、最近アメリカのシンクタンクから、必ずしもデータ量が多いプレーヤーがAI戦争に勝つわけではない、というレポートが発表され、議論を呼んでいます。このレポートの主張は「AIとデータ量の関係は、経済と労働力の関係と似ており、中国は確かに労働力は多いかもしれないが、経済にとっては労力の量以外にも労働力の質、構造、モビリティが重要である」というもので、必ずしも質の悪いデータ量を集めるだけでは、勝負には勝てない、ということかと思います。
中国政府は2017年7月に「AI次世代戦略」を発表しており、AIを「国際競争の新たな焦点になり、将来をリードする戦略技術」と位置付け、AI産業発展の3段階戦略をぶち上げています。
それに対して2019年2月に米国のトランプ大統領は、AIにおける世界のリーダーシップを維持するための大統領令に署名しました。この中の一部には「 戦略的な競争相手および海外の敵対者に対する米国の国家および経済的安全保障上の利益に不可欠な米国のAIにおける優位性を保護するための行動計画を開発し実行する」 と記述されており、中国などを念頭に置いていることは明白です。 ソフトバンクの孫さんは「日本はAI後進国」であると述べ、警笛を鳴らしています。僕は日本は、勝ち目がないデータ量、質で勝負する必要はないと思っています。AIアルゴリズム開発は原則的にオープンソースが基本なので、いかに必死に学び、いかにうまく活用するかが勝負になってくると思います。
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