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ソニーvsサムスン:スマホの次は「車の目」を巡る、知られざる半導体覇権争いの全貌

  • Writer: Global Tech Partners
    Global Tech Partners
  • Mar 20
  • 5 min read


あなたが毎日手にするスマートフォンのカメラ。実はその「目」となる半導体シェアの約半分を、日本のソニーが独占していることをご存知でしょうか。長年続いた王者の座に、韓国のサムスンが「異次元の戦略」で肉薄し、今や戦いの舞台は自動運転車へと移りつつあります。



私たちがスマートフォンで綺麗な写真を撮ったり、動画を録画したりするとき、その裏側では目に見えない巨大な技術戦争が起きています。主役は日本のソニーと、韓国のサムスン電子。この2社だけで、世界中のスマートフォンカメラに使われる「CMOSイメージセンサー」(光を電気信号に変えてデジタル画像にする半導体)市場の半分以上を支配しています。


この市場で長年圧倒的なリーダーとして君臨してきたのが、ソニーです。ソニーの半導体部門は、世界の売上の約45パーセントを占めています。特にAppleのiPhoneには10年以上、ソニー製のセンサーが独占的に採用され続けています。私たちがiPhoneで写真を撮るたび、その光をデジタルデータに変えているのは、実はソニーの技術なのです。


一方、それを猛追するのがサムスンです。サムスンは自社の「Galaxy」シリーズという巨大な販路を持ち、そこで技術を磨きながら、中国のスマートフォンメーカーなどに積極的に自社製センサーを売り込んできました。現在、サムスンは市場の約20パーセント前後のシェアを握り、世界第2位のポジションを固めています。


この両者の戦いは、単なるシェア争いではなく、全く異なる「技術思想」の激突でもあります。


ソニーが世界を驚かせたのは、2012年に発表した「積層型」(回路を何層にも重ねて性能を高める構造)という技術です。それまでのセンサーは、光を受ける部分と電気処理をする回路が隣り合わせに並んでいましたが、ソニーはこれを上下に重ねることに成功しました。


これにより、同じサイズでも光を効率よく取り込めるようになり、さらに複雑な処理回路を搭載できるようになりました。2017年にはこの隙間にメモリを組み込み、1秒間に1000コマという超スローモーション撮影を可能にしました。ソニーの戦略は、とにかく「画質」と「スピード」を極めることにあります。


対するサムスンが打ち出したのは、「ISOCELL」(画素の間に物理的な壁を作って光の混じりを防ぐ技術)という独自の道でした。スマートフォンのカメラは、限られたスペースにできるだけ多くの「画素」(画像を構成する小さな点の集まり)を詰め込もうとします。しかし、画素が小さくなると、隣り合った画素同士で光や電気が漏れて混ざり合ってしまう「混信」(色が濁ったり鮮明さが失われたりする現象)が起きます。


サムスンは画素の間に防壁を作ることでこの問題を解決し、画素を極限まで小さくすることに成功しました。その結果生まれたのが、ソニーも踏み込んでいなかった「1億画素」や「2億画素」という、一眼レフカメラすら凌駕する圧倒的な数字のスペックです。


この「画質重視のソニー」と「多画素・スペック重視のサムスン」の戦いは、市場を二分しました。Appleなどは「画素数は1200万画素で十分、それよりも1つ1つの画素を大きくして光を多く取り込むべきだ」というソニー寄りの考えを採用してきましたが、インパクトを重視する中国メーカーなどはサムスンの2億画素センサーに飛びつきました。


しかし現在、この両者の境界線は消えつつあります。ソニーも高画素化を進め、サムスンも積層技術を磨き、お互いの得意分野を取り込みながらさらなる高みを目指しています。


そして今、この2社の戦場はスマートフォンの外へと広がっています。それが「車」の世界です。


スマートフォンの需要が飽和しつつある一方で、自動運転や安全運転支援システム(ADAS)の普及により、車に搭載されるカメラの数は劇的に増えています。かつてはバックカメラ1つだった車が、今や周囲を監視するために8個、10個というカメラを搭載するようになっています。


車用のセンサーは、スマートフォンのものとは求められる性能が違います。トンネルの出口のような、非常に明るい場所と暗い場所が混在する環境でも瞬時に状況を判別できる「ハイダイナミックレンジ」(明るさの幅を広く捉える性能)や、LEDの信号機がチカチカと点滅して写ってしまう現象を防ぐ技術が必要です。


ソニーはすでに車載センサー市場でも存在感を高めており、2019年には約25パーセントのシェアを持っていましたが、これを40パーセントまで引き上げる目標を掲げています。対するサムスンも、AI(人工知能)をセンサー自体に組み込み、カメラそのものが「これは人間だ」「これは障害物だ」と判断する「スマートセンサー」の開発に力を入れています。


面白いことに、現在この車載センサー市場で世界シェア1位なのは、ソニーでもサムスンでもなく、アメリカのオン・セミコンダクターという会社です。ソニーとサムスンは、スマートフォンの王座を争いながら、同時に新天地である自動車市場の巨人に挑もうとしているのです。


私たちの生活を劇的に変える自動運転の「目」を作るのは、日本の精密な技術か、それとも韓国の圧倒的な開発スピードか。この「光を巡る戦争」の行方は、スマートフォンの次の時代の主導権を誰が握るかを決定づけることになるでしょう。



この記事は2026年3月20日にアップされた「Behind Asia」というYouTubeチャネルの「The War for Light: The Sony vs. Samsung Battle for the Image Sensor」という動画を元に日本の読者に向けて役に立つ情報と考察を書いています。


本テーマが自社の事業戦略にどう影響するか、

ご関心があれば個別に議論可能です。


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